TANAGOKORO TEAROOMをパッケージするということ | 有澤 眞太郎

 かねてより、備長炭ショップでは1999年の立ち上げから度々、関わらせていただいておりましたが、ティールームのお仕事は今回が初めて。
 先ずは掌的お茶ふるまいを体験させていただくことになりました。
店内に一歩入ると、そこには人混みで賑わう銀座の街から切り離した空間がひろがり、席に案内されメニューが運ばれるとともに、おもてなしが始まります。
単に美味しいお茶を淹れるというだけではない、五感にとどく一つ一つの所作がヒーリングセラピーを受けるかのようで、TANAGOKORO TEAROOMならではの気遣いと哲学が伝わり、銀座ならではの特別な時間を過ごさせていただきました。
 実際に体験し、単に美味しいお茶のギフトセットをデザインするのではなく、お店で体感したことをパッケージにしなくてはTANAGOKORO TEAROOMらしさを伝えられないと感じました。
一瞬で見て終わるパッケージではなく、セットを開けてゆく手順とお店での時間をリンクさせ、疑似体験ができるようなストーリー性のあるものに仕上げたいと考えた次第です。
 ギフトセットのケースは、素に戻った自分をイメージできるよう、上質な白い紙でシンプルに。
小分けしたフォルダーを詩集の全集に見立て、表紙はTEAROOMの世界観を凝縮した写真で視覚的に誘うように。そして、表紙を開けると一冊一冊にお茶の産地や説明を挿み込み、店内でご説明をいただくような知る悦びをかたちにしました。
あとは、極上のお茶を召し上がっていただくだけです。
ストレスの多い世の中、素の自分を取り戻し新たな自分でリスタートできる貴重な場所。

 この商品を手にされた方々が、お店にいらっしゃった時と同じように、とは申しませんがTANAGOKORO TEAROOMらしさを感じていただけると幸いです。


2016年12月9日

有澤 眞太郎(ありさわ しんたろう)
アートディレクター
有限会社ヘルベチカ 代表

ロゴマークから広告・エディトリアル・パッケージ・プロダクトデザインまでと、広範囲に手がける。トータルブランディングのお仕事も多い。

社団法人日本グラフィックデザイナー協会会員
社団法人日本パッケージデザイン協会会員

アスクル株式会社 ロゴマーク
キリンビール秋味 パッケージデザイン
資生堂長命草 トータルブランディング
TANAGOKORO TEAROOMパッケージ

受賞歴
ロンドン国際広告賞 ウィナー
日本パッケージデザイン大賞 銀賞
日本パッケージングコンテスト・日本グラフィックデザイナー協会賞

http://helvetica.co.jp